運動は免疫力を高めるのか
横浜筋トレスタジオの宮原崇です。
今回は運動をすることで風邪を引かなくなるのかどうか?という観点で免疫について考えていきます。風邪をひきやすい、ひきぬくい環境や予防をきちんと行っているかどうか、要するに生活習慣によるものが大きく関わってきます。病原体を体内に侵入させないことがとても大切であり、他人との接触が多かったり、物を触った手で目、鼻、口を触ってしまう癖がある場合は粘膜に細菌が侵入しやすくなるので、目薬の活用や指で物を触らない、触ったらマメに消毒や手洗いを行うことが大切となります。
意外だと思われるのですが、高強度の運動は免疫力低下の要因の一つとして考えられているので、高強度の運動後のリカバリーは免疫力低下にならない為にも必須となります。鍛えれば鍛えるほど免疫力が向上するというのは一概に正しいとは言えないかもしれません。そのほかの免疫力低下の考えられる要因として、慢性的な心理ストレス、出張や旅行などによる長距離移動、過剰なダイエット、過度な飲酒・喫煙、紫外線を浴びる、女性ホルモンの低下などがあげられます。
免疫の機能には「粘膜免疫」と「全身免疫」という2つのものが存在しています。粘膜には「分泌型免疫グロブリンA(secretory immunnoglobulin A:SIgA)」というものがあり、この機能を低下させないことが免疫力向上の鍵となります。長距離マラソンやロードバイク、水泳などでの強度が高く時間が長い運動では、粘膜免疫の主体となる分泌型免疫グロブリンAを低下させて、回復するまでに1日は必要ということが分かっていますので、運動をしていない一般の方との比較では風邪をひきやすい条件にある、ということが言えます。例えば、マラソンを毎日走る、一週間のうちに高強度の運動を5回行っているケースは回復とのバランスの考慮が必要になります。
一方で、1セット10回前後で行える重量を扱える筋トレや最大酸素摂取量の50%くらいの強度での有酸素運動では唾液に含まれている分泌型免疫グロブリンAは高まるということが分かっていますので、運動で免疫力を高めようと思ったら、ウォーキングなどの低負荷や中強度の運動がお勧めです。
その他、免疫力向上に必要な要素として、副交感神経を活性化させる活動や日常生活が大切です。例えば、マッサージや鍼、入浴、よく笑う、アロマ、お香、森林浴、お酒を控える、栄養の観点では、ビタミンA、ビタミンD、乳酸菌が含まれている食事やサプリの摂取がお勧めです。