うまく歩けることと筋力強化
横浜筋トレスタジオの宮原崇です。
「生涯自分の足で歩きたい」「寝たきりになりたくない」「介護のお世話になりたくない」という願いは誰もが持っている願望の一つだと思います。これらの目標に対して、フィットネスクラブで一生懸命マシンを使って、筋力向上を日課にされている方も多いです。これはこれで当然素晴らしい習慣ではありますし、筋力向上は健康においても必要な要素ですので、続けるべきだと思います。しかし、「歩く為には筋肉を鍛えていれば全てOK!」という観点ですと、少し話が違ってきます。
アメリカには「Grounding (グラウンディング)」という言葉があり、日本語での直訳は「接地」になります。運動療法の分野では「いかに地面の理解を全身で感じることができているか」という意味合いで使われています。要するに人間が歩く時に地面接地が上手く行えているかどうか、を表現しています。実は「歩く」という行動には人間にとって、非常に沢山の要素が備わっており、地球の重力と床からの反力をいかにうまく利用出来るかが鍵となります。見方を変えると、これは物理の世界であります。信号待ちをしていたり、立ち話で私たちが静止して立つ、歩きながら会話をするという行為ことが出来るのも、足底の感覚が「どのような場所に立っているのか」、視覚からの情報で「どのような地面の形をしているのか」、前庭からの情報で「どのくらい加速しているのか」などの能力が正常に働いている証拠でもあります。
視覚、前庭、体性感覚のどれかに機能低下が見られてると、重力と床反力を上手く利用出来なくなりますので、立つという行為自体がしんどくなってきますので、歩くということにも支障が出て、全身のシステムのミスマッチが起きてしまいます。緊張しなくても良い状況で緊張してしまう現象が起きますので、これに抵抗するように必要以上に身体を反らせて腰の痛みに繋がったり、歩幅を狭くする、足の指を使って地面を引っ掻く、ような歩き方になり膝を痛めたり、という症状に繋がりやすくなります。逆にGurounding(グラウンディング)が上手く出来るようになることで、自律神経の乱れを抑えることが出来るので、身体の不調も自然とこれに伴って軽減されていきます。これらのことを考慮していくと、筋力だけを向上させても歩行動作がよくならないことが分かります。
参考になれば幸いです。
本日は以上となります。