女性のスポーツとダイエットで大切なこと

女性アスリート、女性における過剰なダイエットによって「月経異常」というものが問題になっておりますが、体内の理解を深めることで、うまく付き合っていくことが可能だと思います。

月経開始とされているのは10〜14歳が正常期間とされていますので、10歳未満で月経が開始される場合は「早発月経」、15歳以上にならないと月経が開始されない場合は「遅発月経」と定義されています。

43歳〜54歳には月経が停止されるのが正常範囲とされていますが、43歳未満で閉経した場合を「早発閉経」、55歳以上で閉経した場合を「遅発閉経」と呼びます。

月経中の正常範囲量は「20〜140㎖」ですが、140㎖以上と出血量が異常に多い場合を「過多月経」、20㎖以下は「過小月経」と定義されています。

月経の正常な持続期間は「3〜7日」と定められていますが、出血日数が2日以内のものを「過短月経」、逆に8日以上のものを「過長月経」と定義されています。

25〜38日が正常周期でありますが、3ヶ月以上月経がない状態を「無月経」、24日以内で発来する状態を「頻発月経」、39日以上3ヶ月未満で発来する月経を「稀発月経」と定義されています。

続いて、これらの原因について見ていきましょう。

出血日数が異様に短い「過短月経」の原因は、「子宮内腔の癒着」「子宮形成不全」などの子宮腔内が狭まるような疾患によるものだと考えられております。

反対に月経期間が正常よりも長い「過長月経」の原因は、「子宮筋腫」「子宮内膜ポリープ」「子宮内膜増殖症」などの子宮腔の拡大によるものであります。

24日以内で月経周期が来る「頻発月経」に関しての原因は、「プロゲステロンの分泌不全」によるものだと考えられています。

冒頭でも述べたように「女性アスリートの無月経」というものが問題になっておりますが「女性アスリートの三主徴 FAT:Female Athlete Triad」というものが存在します。

一つ目が「視床下部性無月経」というものがあります。

スポーツで必要以上のエネルギーを使うことで、体内での利用可能なエネルギーが長期的に不足してしまうことで誘発してしまう症状です。

長期のエネルギー不足によって、脳の下垂体からの黄体形成ホルモンの分泌が抑制されてしまいます。

黄体形成ホルモンの分泌が抑制されてしまうことで、排卵がなくなり、稀発月経と呼ばれる月経不順になり、次第に無月経の症状になってしまうことであります。

二つ目は「骨粗鬆症」です。

高齢者だけがなるイメージが多いですが、スポーツによって長期間無月経になることで「骨量と関係性があるエストロゲンホルモンの分泌低下」によって、骨密度が低下してしまいます。これによって、疲労骨折のリスクも高まってしまいます。

競技者としてレベルが高い大会に出場していたり、マラソンなどの持久系競技あるいはバレーなど美しさを競う競技などのを行っている選手、身長と体重で計算するBMIの割合が極端に低く18.5未満の選手は無月経になりやすいと言われております。

無月経になることで、心身の健康状態の維持に必要なホルモンが分泌できなくなってしまう、その逆然りも問題で有ります。

過剰なダイエットをする女性にも見られる症状ですが、激しいトレーニングや上記に述べたスポーツで心身共にストレスレベルが高くなることで、ストレスホルモンである「コルチゾール」の血中濃度が高くなります。

副腎から分泌されますコルチゾールの値が上昇することで「性腺刺激ホルモン放出ホルモン」「卵胞刺激ホルモン」「黄体化ホルモン」「エストロゲン」の分泌量が低下してしまうことで無月経や骨粗鬆症になりやすくなります。

このように女性ホルモンの機能低下が起きることで、グレリンやレプチンという「食欲のコントロール」に必要なホルモンバランスも同時に崩れやすくなります。

続いてハードな運動や過剰なストレスによって、無月経になった場合の筋力トレーニングの効果について見ていきましょう。

全員の筋力や筋量を向上させる場合には「アナボリックホルモン」を分泌させる必要があります。アナボリックホルモンとは「筋力向上などに必要なタンパク質の同化作用」に必要なホルモンの総称です。

このアナボリックホルモンは筋力・筋量向上以外に骨形成による「骨量の増加」にも関与していますので、骨粗鬆症にも影響を与えるホルモンでありますが、無月経の場合、このアナボリックホルモンの分泌が低いと考えられていますので、筋力トレーニングを行なっても効果が乏しくなる可能性があります。

アナボリックホルモンの中の代表的な「成長ホルモン」と「テストステロン」というものがあります。

やはり無月経とこの両者の間にも関係性が存在しています。

月経が正常な女性が筋力トレーニングを行うと、卵胞期や黄体期でも成長ホルモンの分泌が向上しますが、テストステロンに関しては月経が正常でも、無月経でもあまり大差はないようです。

しかし、無月経や月経周期が異常な場合は、テストステロンの分泌量もかなり低くなる傾向があるようです。

筋力トレーニングやスポーツを行うことで、自律神経を調節することで「心拍数増加」「呼吸量の調整」「筋肉へのエネルギー供給」を適切に行うために「アドレナリン・ノルアドレナリン」というホルモンが分泌されます。

このホルモンの分泌が低下することで、運動のパフオーマンス低下に結びついてしまいますが、無月経のアスリートはやはりこの「アドレナリン・ノルアドレナリン」のホルモン分泌低下に繋がる可能性が高いとされています。このような観点からもスポーツ競技に取り組んでいる女性アスリートやダイエットやボディメイクに励む一般女性は、正常な月経周期を保ちならスポーツ競技やトレーニングを行うことは「パフォーマンス向上」においてもとても大切なことだと言えます。

このように考えますと、将来を見据えて、10代の頃から女性アスリートに

おいては身体の特徴を考慮した運動量や栄養・休養のバランスがとても大切であります。

男性と比較して、女性は元々ホルモンの影響で「骨粗鬆症のリスクが高い」と言えます。

その為、成長期の時期に骨密度をどれだけ向上させられるか、ということが大切なカギとなります。

本来であれば、最も成長した翌年くらいには初潮が来るのが正常でありますが「過度な運動」「過度な食事制限」によって、成長期にも関わらず、体重が減少する場合、エストロゲン分泌の低下が起きると共に正常な月経周期を逸脱するような形になってしまいます。

エストロゲンは骨密度とも密接な関係性がありますので、低体重と低エストロゲンの掛け合わせが起きてしまいますと、16歳前後で「疲労骨折の発生頻度が高くなる」だけでなく、20歳でピークを迎える「最大骨量の獲得」も出来なくなる可能性が高くなってしまいます。

このような観点からも10代女性でスポーツ競技のために「極端な体重制限」「極端な食事制限」「過剰な運動量」というのも数十年後の健康状態を左右するのだと、本人だけでなく周囲も考慮していく必要があるのかもしれません。

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